こんにちは、うがちゃんです。
今回は鳥取の砂丘育ちのブドウで醸造される
『北条ワイン』をご紹介します!
北条ワイン醸造所
1944年に鳥取県北栄町に誕生。
鳥取県の中部に広がる北条砂丘で育ったブドウを使い”北条ワイン”を醸造しています。
ブドウの凝縮感や海のミネラル感を
ふんだんに楽しめるのが特徴なんだそう!
北条ワインの始まり
戦時中の1944年ごろ。
北条砂丘は当時からブドウの一大産地として知られていて、軍事省から“酒石酸(しゅせきさん)”を作るように命じられたのが始まりだったそう。
酒石酸とは、ワインを作るときに樽の底にできる
物質で、(後から分かったことですが)伝導率が高いことから武器づくりに使われていたんだとか。
当時、秘密主義であった軍事省からは情報を教えてもらえることはなく、一体何に使われるか分からないままこの酒石酸を作ってはワインは捨てての繰り返しだったそうです。
戦争が終わりに近づくと、軍事省からのオーダーが無くなりました。
そして、今まで酒石酸を作るための副産物として捨てていた“ワイン”をメインとして『北条ワイン醸造所』を誕生させました。
ブドウ作りに適した北条砂丘
「砂地で…ブドウ…?」
作物を砂地で作るイメージはあまりなかったのですが、実はこの北条砂丘はブドウ作りにとっても適した土地だったのです!!
水捌けの良さ
砂地は水はけがよく、雨が降っても水たまりができずにしっかりと地面が乾くのでギュッと凝縮感のあるおいしいブドウが育つそうです。
風通りの良さ
北条ワインがある北栄町の周辺には風力発電機がたくさん立っています。つまり、この土地には風が良く吹いている証拠なのですが…
北条砂丘のブドウ畑にも風が流れ続ける為、雨が降っても地面がしっかり乾く。
そして、風が吹き続けることで病気が付きにくく、ブドウが健やかに育ちます!
寒暖差がある
北条砂丘のブドウ畑は、朝晩で約6℃の寒暖差があるそう。
寒暖差があることでブドウの色づきがよくなり、高品質なブドウが育つそうです。
そもそも江戸時代に一本のブドウの苗木が持ち込まれたことをきっかけに、北条砂丘一体にぶどうが広がったそうです。
育ちやすい環境だったからこそなんですね!!
北条ワインができるまで
醸造所が所有する畑には、白ワインで使われる甲州・シャルドネ・ソービニヨンブランなど約5品種と
赤ワインで使われるマスカットベリーA・シラー・メルローなど約8品種のブドウが育ちます。
8月下旬~9月下旬に順に収穫開始。
収穫後はブドウを潰す機械に運ばれます。
(赤ワインは房の枝の部分などを取って、
実を丸ごと発酵させてから潰す工程があります。)
「ワインには日本酒やビールのように水を加える工程がないので、その土地で収穫されたブドウ自体の味わいがダイレクトに出てくるのが面白い!」
と代表の山田さんが話してくれました。
潰したブドウに酵母を入れて、約10日間かけて発酵することで約11~12度のアルコールになるそうです。
(酵母が糖を食べることでアルコールを出します。約10日間でこの糖を食べつくすと発酵が止まりアルコールが出来上がるのです!)
発酵後は『澱引き(おりびき)』という作業へ。
これは、沈殿した酵母などの澱と綺麗な上澄みのワインを分ける作業です。
そうして、上澄みのワインを樽やタンク、瓶などに
詰めて熟成させれば完成となります。
ちなみにこの作業が行われる蔵は創業当時のまま!
蔵は土壁でできており、蔵の中の温度は一年を通して10~20℃に自然に保たれるそうです!
北条ワイン最大の課題と最高の価値
戦後から長年続く北条ワインですが、ここ10年ほどで大きな壁にぶつかったことも…。
2016年 鳥取県中部地震
2016年に発生した鳥取県中部地震。
北条ワインがある北栄町では、最大震度である6弱が観測され、町の広い範囲に被害がありました。
醸造所も建物が傾き、瓶が割れたり、ワイン熟成の為のタンクが倒れ、甚大な被害が出たそうです。
さらに、蔵の中は倒れて流れ出てしまったワインで膝上ほどまで浸水したそうです。
当時、あまりにも被害が大きく、廃業を考えたそうですが、全国から届いた応援メッセージに励まされ、再起を決意!
幸いにもブドウ畑や従業員は全員無事で、少しずつ復興しながら、スタートを切りました。
2018年 産地名称のルール改正
しかし、2018年にさらなる壁が…
法律の改正により、「産地名称のワインを作る場合は
その土地のブドウを85%以上使う。」というルールが設けられました。
北条ワインでは北条砂丘のブドウ畑をメインに、足りない部分は倉吉などの契約農家さんからブドウを仕入れてワインを作っていたため、大きな課題に・・・!
『“北条”ワイン』と名乗るには、北条の地域だけで育ったブドウが85%以上になるようにしなければ…
しかし、農家さんの高齢化なども進み、北条地域だけで新しい契約農家さんを増やすのは難しく、現在は2戸の契約農家さんと北条ワイン醸造所自身でブドウを栽培し管理しているそうです。
産地名称のワインを作るワイナリーでは、全国的にも高齢化や人手不足による原料不足が最大の課題となっているそうです。
このような厳しい環境の中で、人の手で大切に作られているからこそ、希少で最高の価値を感じます。
ブドウ農家に興味がある方へ
ブドウ農家を一から始めるとなると…
種を蒔いてブドウが収穫できるまでには、約3年かかるそうです。
成木まで成長すれば、その後は安定して実がなるのですが…一からはじめるまでの3年間は収入源の確保などが難しく大きな課題となります。
そこで北条ワイン醸造所ではブドウ農家になりたい方に向けて、成木まで育てた畑を譲り、そこで育ったブドウはワインの原材料として買い取るシステムを導入しています。
興味がある方は、北条ワイン醸造所へ問い合わせか
各求人サイトでも募集を行っています。
購入場所について
北条ワインは、鳥取県内の各百貨店やスーパーマーケット、道の駅、土産物店で購入可能です。
また、オンラインストアもありますので遠方の方でも気軽に購入することができます。
北条ワイン醸造所の直売所では、すべてのワインの試飲が可能で気になるものを飲み比べして、じっくり選ぶことができます。
試飲や来店に予約は不要で、営業時間中はいつでも対応可能とのことでした。
さらに、直売所でしか購入できない限定ワインの
販売もありますのでぜひ足を運んでみては?
店内の商品を一部ご紹介すると…!
2024年のとれたてブドウが味わえる“北条ヌーヴォ”。
ちなみに今年のワインは出来がとっても良かったそうです♡
和食ともよく合う“砂丘”。
砂丘白は、しっかりした味わいだそうで、松葉ガニや白イカ、焼き鳥、鶏むね肉などの料理に合うそうです。
砂丘赤は、深みのあるエレガントな味わいで、マグロの刺身やうなぎなどとも相性がいいそうです。
どれも気になりますね・・・!
私はお土産用に『北条ヌーボー』の赤白セットと
ラベルの可愛さにひかれて『スタンダード赤 地図ラベル』を購入♡
おわりに
北条ワインについてご紹介しましたがいかがでしたか?
様々な困難を乗り越えながら、真摯にワインに向き合う北条ワイン醸造所の姿に感動しました。
また、ワインについて教えていただいた中で、同じ品種のブドウでも育つ環境によって味が全く変わってくるそうで、この北条砂丘の周りの環境がダイレクトにワインに出てくるというのがとても面白いぁ…、と思いました!
ぜひ皆様も北条ワインを味わってみてはいかがでしょうか?
店舗情報
北条ワイン醸造所
住所:鳥取県東伯郡北栄町松神608
電話:0858-36-2015
定休日:日・祝日
営業時間:8:00~17:30から18:00ごろまで
(事前に電話すれば日時の調整可能とのこと)
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