
舞台の上に立つのは、たった一人。
共演者も掛け合いもなく、登場人物全員の感情すべてが一人の俳優の表現力に委ねられる「一人芝居」。
地元・島根でその一人芝居に挑むのは、松江市出身の俳優・糸川耀士郎さんです。

昨年俳優活動10周年を記念し企画・上演し大好評を博した1人音楽劇『夜啼鳥』。
7月30日より、地元・島根県を含む全国5都市で再演が始まります。
「暴君」だけでは語れない『ネロ』という人物
これまで数々の舞台に出演し、漫画やゲームの世界を舞台上で表現する”2.5次元作品”でも活躍してきた糸川さん。
47都道府県の“ゆる神様”たちが「首都」を巡って戦いを繰り広げる都道府県擬人化漫画『四十七大戦』が舞台化された際は「島根さん」役を演じました
この度の音楽劇『夜啼鳥』は、古代ローマ皇帝・ネロの人生を描いた作品。
一人芝居の中に歌も織り交ぜ、ネロを取り巻く人々までも一人で演じ分けていきます。

歴史の授業では「暴君」として習うことが多い人物ですが、その一方で音楽や詩、演劇を愛し、自ら舞台に立つほど芸術に情熱を注いだ人物でもありました。
ネロの苦悩や孤独、芸術を求め続けた一人の人間としての姿を苛烈に演じます。
セリフでは表現しきれない感情を歌が受け止め、ネロの心の揺れをより深く観客へ届けます。芝居と音楽が溶け合うことで、一人芝居でありながら壮大なスケールを感じさせる作品となっています。
俳優・糸川耀士郎さんにインタビュー!
去年より一層パワーアップした一人芝居『夜啼鳥』を背負い、地元・島根でも公演を行う糸川さん。
公演を控えた忙しい時期にも関わらず、今回「na-na」のインタビューに答えてくれました!

Q.去年初めての一人芝居「夜啼鳥」に挑戦された糸川さん。どんな苦労や気づきがありましたか?
糸川:去年は俳優10周年記念ということで、「チャレンジしたい」という思いがありました。
一人芝居で、しかもそれは音楽劇という、とにかく色んな技術がないと届けられないような作品を作ろうと思ったのですが、その思いに相応しくとてつもなくハードルの高い戯曲が完成しました。
前回は正直この戯曲に食らいつくので精一杯で大変な思いもしたんですけど、その分人生で一番成長できた作品になったので、そういう意味では忘れられない作品になったなと思います。
Q.多くの登場人物を一人で演じる大変さは感じましたか?
糸川:そうですね。苦労はあったんですけど、同時に僕はすごくそういうのが好きで。演劇のテクニックで魅せなければならない、というような演出、ギミックが凄く好きなので。
個人としては大変な思いもありつつ、楽しみながら演じることが出来たなと思います。

糸川:去年演じた時も思ったんですけど、「この本は自分じゃないとできないんだ」って思えるぐらい、すごく運命共同体のような本・作品に出会ったなと思います。
Q.そんな運命共同体のような作品。去年は東京公演のみだった「夜啼鳥」、今年は地元・島根県を含めた地方公演も開催されるとのことですが、どんな思いが込められていますか?
糸川:いつか地元の島根で舞台をしたいなという思いは常にありました。
その中で、この「夜啼鳥」という作品は、本当に演劇の良さがすべて詰まったような作品になっています。
初演の時に確かな手応えが自分の中にもあった反面、「果たして、これを東京に比べ演劇の文化があまり根付いてない地方に持って行った時に、同じようにお客様に届けることができるのか?」ということを考えました。
お客様からお金をいただいている以上、絶対に表現して届けないといけない。
自分は役者として、その表現する力があるのか?それを試したいなと思いました。

Q.今年は「再演」ということで、去年より変化、ブラッシュアップ、パワーアップしている点などはありますか?
糸川:すべてがブラッシュアップされています!今回、新たな曲も追加しました。
台本自体はそんなに変わってないんですけど、この一年で僕もいろいろと経験を積んで、それを踏まえて一年前の映像を見た時に、あの時は「完成した」と思っていたものが「あ、まだまだこんなに可能性があって、まだまだこんな深められるんだ」ということを凄く感じて。
初演を見ていただいた方には「すごく変わってる!」と思っていただくのも一つの楽しみ方だし、初めてご覧いただく方には、最初から結構大きな衝撃を与えられるんじゃないかというワクワクがあるので、すごく楽しみですね。

糸川:多分その土地ならではの、お客様の入り込み方があったりとか。
最大限ちゃんとこちらがお客様のイマジネーションを掻き立てられるか、ちゃんと興奮させられるかどうかは、こちら側が絶対におざなりにすることなく、やらないといけないことなので。
それを果たして僕自身がちゃんとできるのか、というところも楽しみにしています。

Q. ネロが渇望した「歌」や「芸術」は、人の愛や温もりよりも、渇きによって洗練されると感じるような場面もありましたが、糸川さんは、ご自身の「芸術」「芝居」の構築にとって必要なものは何だと思いますか?
糸川:僕は「芸術とは」みたいな、大それたことは分からないんですけど。
インプットすることって大事だなと思っていて。例えば「古代ローマの人間を演じます」となった時に、その引き出しとは?当時の人々の空気感ってどんなものだ?とか、自分が理解していなかったら、お客様にも絶対伝わらないと思うし、その演技の深みにも絶対関わってくると思うので、常日頃から〝インプットすること〟をとても大切にしています。

糸川:そういう意味では、本当に無駄なものなんて一つもないんじゃないかと思っています。
稽古場にいない、劇場にいない時間も、すべてが芝居に生きると思って常にアンテナを張ってる部分があります。
例えば、雨が降って、その雨が上がった時の匂い、それを嗅いだ時にどう思うんだ?みたいな。
僕、緑の匂いとか嗅ぐとすごく地元を思い出したりするんですよ。
そういうエモーショナルな気持ちとか、感受性が豊かであればあるほど、素敵なお芝居ができるんじゃないかと勝手に信じています。
Q.舞台本編ではネロと母親の関係も見どころの一つですが、糸川さんのご両親は地元・島根県で公演が行われることに対してどんな様子でしたか?
糸川:多分、僕よりもずっと楽しみにしてんじゃないかなっていうぐらいです。
知人に声をかけまくっているようで(笑)
普段は両親が、特に母親が舞台を見に東京や大阪に足を運んでくれて、
嬉しいなと思うのと同時に、体力や金銭的に大丈夫かな?とか、変な心配をしてしまっていたので、今回地元で演じることは、一つの親孝行なのかなと思いますね。
また、僕には姉と兄がいて、姉は僕の舞台を見たことがあるのですが、兄はまだ見たことがなくて。
「兄ちゃんに見てもらえるんだ」と思うとそれも楽しみです。
Q.他県から島根県公演を見に来られるファンの方もいらっしゃると思います。
ご自身の舞台と合わせて、島根のどんな部分を楽しんでいってほしいですか?
糸川:僕の写真集の撮影をした時に、地元・松江に帰って自分の原点となった場所を色々巡ったんです。そういう聖地巡礼もしてみてほしいですね。
「これが松江か!」と感じてもらえたら嬉しいですし、宍道湖の夕日も見てもらいたいなと思うし。これが自分の生まれ育った町なんだっていうのを感じてもらえて、一人でも多くの人に島根を好きになってもらえたら嬉しいなと思います。

地元・島根で演劇を。その挑戦の目撃者に
芝居への情熱と、自分を構成するものへの真摯なまなざし。
糸川さんにインタビューを行う中でそんな魅力をひしひしと感じました。

『夜啼鳥』で驚かされるのは、一人しか出演していないことを忘れてしまうほどの没入感。
母との対話、臣下とのやり取り、人々の歓声。
糸川さんの視線、声音、繊細なアプローチによって、舞台には古代ローマの世界が立ち上がっていきます。
さらに、物語を彩る歌も大きな魅力の一つ。
セリフでは表現しきれない感情を歌が受け止め、ネロの心の揺れをより深く観客へ届けます。芝居と音楽が溶け合うことで、一人芝居でありながら壮大なスケールを感じさせる作品となっています。

全国各地で舞台に立つ糸川さんの主演舞台を、地元・島根で観られる機会はそう多くありません。
だからこそ今回の公演は、多くの人にとってきっと特別な時間になるはず。
俳優として積み重ねてきた経験の先で挑む、一人芝居という大きな挑戦。
是非、その挑戦の目撃者になってみてはいかがでしょうか?
【糸川耀士郎 1人音楽劇「夜啼鳥」】
2026年8月10日(月)-8月11日(火・祝) ビッグハート出雲 白のホール
ローソンチケット:https://l-tike.com/hitoriyonakidori/
カンフェティ:https://www.confetti-web.com/@/hitoriyonakidori2026
特典付チケット(特典:スペシャルブックレット):11,000円
特典なしチケット:8,000円
シルバー割・学生割(島根・石川):5,600円 (指定席/特典なしのみ)(※チケット枚数に限りがございます。)
























