
鳥取市の鳥取県立博物館で2026年7月4日(土)〜8月30日(月)に開催されている企画展「妖怪・幻獣づくし」。

現代ではキャラクター化され、さまざまなエンターテインメントの題材として人気を博している日本の妖怪。
しかし、かつては『人間を超えた力を備えた存在』として長らく畏怖の対象となってきました。

そんな、妖怪や幻獣を通して日本人と自然とのかかわりの歴史を明らかにしていくというこの企画展!
SNSで話題になった話題の「筑前化物絵巻」(ちくぜんばけものえまき)」も中国地方で初公開されています!
そんな企画展の内容を少しだけご紹介します♪
自然と人間の関わりから見る「妖怪」の存在
今回、展示を監修した兵庫県立歴史博物館の香川雅信学芸課長がメディア向けに丁寧に解説してくださいました。

妖怪は、もともと日本人が自然環境に対して抱く畏れの感情から生まれてきたものであったという考え方もあるそうです。
古くから語られる妖怪の目撃談は、ほとんどが人間が開拓してきた野生動物の住処、自然の中でした。
人間の住む領域と、自然の領域が重なるところに「妖怪」は存在する。

例えば、カワウソは河童、トンビは天狗、ムササビが弧を描いて空を飛ぶ姿は一反木綿・・・など。
このように、人間が利益のために自然を作り替えたところ、もともと住処にしていた野生動物たちに出会い、それを妖怪に見間違えたという仮説が立てられるというのです!

野生が人間の世界を侵食してくる、という根源的な不安が「妖怪」という概念を生み出したのではないか。
今回は、そういった『日本人と自然環境の関係性』という観点からも「妖怪」を紐解く展覧会になっている、と香川課長は話します。
香川課長のギャラリートークは最終日の8月30日にも予定されていますので、ぜひご参加ください!
妖怪って・・・可愛い!?話題の「筑前化物
テレビ番組に出品されたことで大きな話題となった「筑前化物絵巻」が今回の目玉の展示作品。それまでほとんど類例が知られていなかった絵柄と内容が界隈に衝撃を与えました。

絵巻の作者は現在の福岡県筑紫野市の人物と推定され、温泉を訪れた湯治客などから聞いた諸国の妖怪にまつわる話を聞き、それを絵巻に仕立てたものと考えられています。
特徴的なのは、なんといってもそのオリジナリティに満ちた絵柄!

繊細な作画と色使いながらも、妖怪たちの造形はどこか親しみのあるキュートな面持ち。
更に、ここに描かれている妖怪は人間に害をなさない妖怪も多く、愛しささえ覚えてきます。

たとえばこの「蟹の床の怪物」。
現在の山口県・長門の鉄出川の河口に出現したと記されている、見た目はまさに蟹のような妖怪です。
鉄出川の河口は古くから危険な「魔所」と呼ばれおり、その「魔所」に立ち入った若者の目の前に砂の中から現れ、若者たちを睨みつけて、また砂の中へ帰っていったとされています。

立ち入った若者を襲うでも懲らしめるでもなく、ただ睨んで立ち去るように促す(ように見える)この妖怪に、
何とも言えない愛しさを感じます。
しかしその「魔所」、当時の人間の暮らしと照らし合わせてくるとある事実が浮かび上がってくるのですが・・・
ここから先は実際の展示でお楽しみください♪
会期中に一度展示の場面替えがあるため、この「蟹の床の怪物」は8月2日までしか見ることができません!
このチャーミングな蟹を一目見たい人はぜひそれまでにお越しくださいね(^^♪
更に、私が心を奪われたのはこちらの妖怪。
その名も「酒盗鳥(しとどり)」。
現在の鳥取県西部である「伯耆国」で発見された妖怪です。
百姓が近所の子どもに留守番を頼んで畑で仕事をしていたところ、子どもが慌てて『冠のようなものを被った鳥が勝手に家に入って戸棚から酒を取り出して飲んでいる!』と呼びに来た、という話が巻物に記されています。
更には土手で酔いつぶれているのを目撃されているとか。

い、愛しすぎる・・・。人の家に勝手に上がり込んで人のお酒で勝手に一杯やって、その果てに土手で酔いつぶれているなんて、憎めない可愛さがあります。
今回見ることが出来たのはパネル展示のみで、実際に描かれている「酒盗鳥」の公開は8月4日から8月30日になりますのでお気を付けください!

そのほかにも、どうみてもイイダコの串すぎるだろ・・・!と突っ込みたくなるような「チョコサイ」は、食用になる一方で、群れになって人を襲うという、なかなか油断ならない妖怪。

更に、銭に化けて拾おうとした人の腕を噛み死に至らせるという、人間の心理を熟知している「銭蛇」など。
絶妙にクスっと笑みがこぼれるチャーミングな妖怪たちが40体以上描かれているのです。
2 さまざまな「幻獣」の遺物が展示!
妖怪と総称されている不思議な存在のうち、実在する「生き物」との境界があいまいなものを「幻獣」と呼ぶそうです。本企画展では、人魚のミイラやカッパのミイラ、天狗の頭蓋骨や雷獣のミイラなど「幻獣」を展示!

なんともインパクトのある人魚のミイラや龍のミイラは、大阪市浪速区にある瑞龍寺が所蔵するもの。
瑞龍寺は昭和20年の大阪大空襲で建物が全焼しましたが、これらのミイラは奇跡的に焼失を免れたといいます。

こちらは「件(くだん)」の剥製。人の顔をした牛のような生き物で、母牛から生まれると人間の言葉で予言を話し、すぐ死んでしまう、という生き物。

そのほかにも、雷獣の剥製や河童の手、鬼の牙など、他ではなかなか見ることのできない「幻獣」の遺物の数々に圧倒されました・・・!
今企画展で初登場!新発見の幻獣資料も展示!?
展覧会の準備を進める中で、兵庫県立歴史博物館の館蔵品のなかから新たに見つかったのが、
「アマビエ」と同じく疫病の流行を予言し、その絵が疫病除けとなった「異鳥図」。

つぶらな瞳で何とも言えない可愛さです。
我々に最も馴染みがあるのは「アマビエ」ですが、その出現以前にも定期的に疫病の流行を予言し、それを避ける方法を教える「予言獣」という存在があったというのが、大変興味深い展示でした。

更にこちらは「蛇骨」と書かれた箱に収められた、生き物のあごの骨と思われるもの。
民を殺すどうしようもない大蛇を退治した、と記された紙が入っていたといいます。
鳥取県立博物館には「自然史資料」として収蔵されていたため、今までその存在が歴史・民族の担当者に気づかれないままだったのですが、今回の展覧会の準備中にあらためてその存在が明らかになりました。
博物館の自然史担当学芸員によると、この骨は「大型ネコ科動物のあごの一部」であるとのこと!

この展示もモチーフにした今回の展覧会のマスコットキャラクター「蛇骨くん」。
蛇の体に大型ネコ科・虎の模様がついたかわいらしいキャラクターです♪
妖怪グッズも盛りだくさん♪

ミュージアムショップには、本企画展のグッズも沢山販売しています!

酒盗鳥や蟹の床の怪物のアクリルキーホルダーもありました。
本企画展で「推し」になった彼らのアクキーを購入♪

この展覧会の公式図録・「図説 妖怪・幻獣づくし」も販売しています。
今回の展覧会の内容がギュッと詰まった一冊です!
まとめ
いかがでしたか?
このほかにも、魅力的な展示が盛り沢山!
古くから人間の暮らしに「妖怪・幻獣」が切っても切れない存在だということがよく分かりました。
皆さんも、不思議な妖怪・幻獣の世界に迷い込んでみてはいかがでしょう?


開催情報
企画展【妖怪・幻獣づくし】
鳥取県立博物館 2階 第1・第2特別展示室
2026年7月4日(土)~8月30日(日)9時~17時
※会期中の土曜日は19時まで開館延長 (入館は閉館の30分前まで)
休館日:7月6日(月)、7月13日(月)、7月21日(火)、7月27日(月)、8月3日(月)、8月17日(月)、8月24日(月)
※お盆の期間は駐車場の混雑が予想されます。以下の近隣駐車場もご利用ください。
【観覧料】一般/1,000円 (20名以上の団体/800円)】
【鳥取城跡周辺駐車場・路線バス情報について】
























