鳥取でローカルテレビ局のディレクターをやっている佐賀県出身の私。
普段は地域のバラエティ番組などを制作しているが、「競りのドキュメンタリーを作りたい」という同僚の出した企画が日本テレビで採用され、晴れて全国放送番組を制作することに。
番組ロケのため、青森・大間のマグロ漁師と、北海道日高のサラブレッドを生産する牧場に密着することになった。
テレビではお伝え出来ないエピソードの数々を、「na-na」でご紹介したい。
大間のマグロ漁に熱い想いをもつ一人の若手漁師との出会い
最初は大間のマグロのお話。
全国放送番組の企画が通り、大間で取材に応じてくれる漁師を探し始めたのが去年11月初旬。
初競りまで2カ月くらいあるので、誰かは応じてくれるだろうと思いきや・・・。
最初に地元漁協に挨拶に行ったところ、冬の荒波の中、船に乗せてくる漁師さんはいないんじゃないか、とのこと。
実はほとんどのテレビ局が、波の穏やかな日が多い秋までにマグロ漁の取材は済ませているらしい。
知らなかった・・・。
焦った私は、マグロ漁師さんが集まるというスナックで、直接交渉することに。
その日、お店に漁師さんは来なかったものの、スナックのママさんが、マグロ漁師さんが一堂に会する集会があるとの情報を教えてくれた。
これは行くしかない!
そして集会当日。
緊張しながらも大勢の漁師さんの前で自己紹介。
よくテレビで見る漁師さんたちの顔も。これは期待できるかも!
酒を酌み交わすうち、漁師さんたちとも打ち解けてきた。
お酒が強くて良かった・・・。
しかし、どの漁師さんからも、冬の荒海でテレビクルーを乗せることは難しいと断られる。
私はまだ31歳のペーペーディレクター。自分で発案した番組ではないが、チャンスをもらった分、活躍したいと思っていた。
何もわからないまま青森に来て1週間。心が折れかかっていた。
傷心のまま、また居酒屋へ。そこで漁師さんにも出会えず、お会計をしていた時だった。
「領収書に日本海テレビと書いてください。」とお願いしたら、店主が「テレビの人?どこから来たの」と聞いてきた。
大間に来てからの苦労話をしていると、たまたま隣のカウンターで飲んでいた人が、「俺が漁師を紹介しようか?」と話しかけてくれた。
また断られるだろうなと思いつつ、藁にもすがる思いでお願いした。
鳥取に帰る前日に待ち合わせ。
そこで出会ったのが、父と兄、叔父もマグロ漁師という大間最年少漁師の菊池和喜さんだ。
和喜さんはマグロ漁について熱い想いを語ってくれた。
マグロ漁の厳しい現状と、これからの未来。そして、初競りがどういうもので、どんなに難しいか…。
私は、ざっくばらんにすべてを話してくれた和喜さんの船に乗せてもらえるようお願いした。
そして和喜さんはその願いを聞き入れてくれた。
これで取材が出来る!そこからは怒涛の年末年始を過ごすことになる。
冬の漁が厳しいとは聞いていたが、まさかここまでとは!?
次回は漁の様子を詳しくお伝えしたい。
番組情報
「The競りメンタリー」
番組はTVerで配信中!
https://tver.jp/episodes/epzawynxg4
2022年9月24日(土)午後3時放送
《日本テレビ系列全国28局ネット》
番組公式ホームページ