島根県松江市にある島根県立美術館で開催中の展覧会「平山郁夫 未来へのキャラバン」をご紹介します!
企画展 平山郁夫 未来へのキャラバン ―シルクロードから日本、そして出雲へ―
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日本画家の平山郁夫さんは、広島で生まれ、15歳の時に被爆しながらも奇跡的に命を取りとめました。幼いころから絵を描くのが大好きで画家を志し、平和への祈りのもと仏教に題材を求め独自の日本画表現に到達したそうです。
また、世界の文化財を保護する活動も行っていて、会場には絵画の他にシルクロードで集めたコレクションなど113点もの作品が展示されています。
中でも気になった作品を紹介していきます!
平和への祈りを込めた作品の数々
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
入ってすぐ、淡い色合いながらその絵が醸し出す悲しい風景が目に飛び込んできます。
中学生の時、原爆の激しい閃光で大きな町が人間ごと一瞬で燃えてしまう強烈な体験をした平山さんは、後にその時目にした光景を描きました。
生涯をかけて平和を願い祈りをささげた礎を感じます。
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奥に進むと横幅3m64㎝・高さも人の背丈の大きな絵が2枚!
平山郁夫さんの代表作であるシルクロードの作品!
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
シルクロードの砂漠を旅するラクダのキャラバン、朝陽のオレンジ色と月夜の群青色の対比があざやかで、絵に吸い込まれていきそうです。
このパルミラ遺跡も戦争により破壊され今は見ることができません。
シルクロードを通じて人・物・文化が交流した平和の象徴であり、平山さんの祈りそのものかもしれません。
シルクロードで集めたコレクションも展示
絵を描くために本当の美術品を身近に置き、本物の美と接したいと中東から東アジアまでシルクロード各地を取材活動する中で、1万点以上の美術品を収集したそうです。
各地の戦禍による破壊行為から文化財を保護するためにも妻・美知子さんと積極的に取り組み、現在の平山郁夫シルクロード美術館で大切に保管されています。
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
これは紀元前530年頃の陶器、ギリシアで葡萄酒やオリーブオイルを貯蔵・運搬するために使用されていたそうです。
壺に描かれているのは、葡萄酒の神や馬の耳と尾をもった半獣が酔い踊る様子など、時代は違えどお酒の場の楽しい様子が感じられます。裏側には竪琴を弾く神も描かれているのですが、今回の展示では後ろに鏡が置いてあり壺の裏側も見ることができます!
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
これは紀元前2000年頃のアフガニスタンで制作された石の女神像。
羊毛で覆われた衣装を身にまとっていて、古代の中央アジア一帯で崇拝された大地母神像だそうです。とても小さな像ですが衣装の模様まで細かく表現されていて、これが4000年前に作られた!そして今も残っていることに驚きます!
島根の景色を描いた作品も
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
平山さんはシルクロードの画家として有名ですが、実は日本の風景も多く描いています。若い頃、まだ被爆の後遺症もあった時に行った奥入瀬渓流に「生きる喜びを心から教えてくれた」と語っています。
この作品はなんと横幅7m超え、バスの長さくらいあるんです!
渓流の水がこちらにも流れてきそうな迫力で、とっても大きな作品に圧倒されます!
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平山郁夫シルクロード美術館蔵
出雲路の神々しい雰囲気を醸し出す光景を見たい思いで何度も島根県を訪れたそうです。
こちらの作品は雲南市加茂町から見た雄大な雲海!
この神秘的な光景に言葉を失い、この感動を絵にしようと思ったそうです。
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朝日生命保険相互会社蔵
ほかにも出雲大社や日御碕神社、桜満開の松江城など、島根県の各地を描いた作品もたくさん並んでいます。
企画展は3月10日まで開催中。ぜひ会場を訪れて、本物の迫力を間近で味わってみてください!
開催情報
平山郁夫 未来へのキャラバン シルクロードから日本、そして出雲へ
会場:島根県立美術館
住所:島根県松江市袖師町1-5
開催期間:2025年1月17日~2025年3月10日
開館時間:
(2月)10:00~18:30(展示室への入場は18:00まで)
(3月)10:00~日没後30分(展示室への入場は日没時刻まで)
休館日:火曜日
電話番号:0852-55-4700
観覧料(当日券):一般1600円、大学生1360円、小中高生700円