こんにちは。
インテリアコーディネーターのアダチツヨシです。
これまでの記事でも何度かテーマとしてきた「椅子」。今回はまた違った角度から掘り下げます。
日頃からちょっと気をつけることで、長く家具と付き合えるポイントもご紹介しますので、どうぞ最後までお付き合いください。

大事故から蘇ったスツール

先日、あるご相談をお寄せいただきました。
脚が根元からポッキリと折れてしまったスツール。

ご依頼主は、「直してまた使いたいけど、果たして修理ができるものなのか?」
そんな想いを抱きながら、誰に相談したら良いかわからず時が経ってしまっていたそうです。
早速、腕利きの家具職人さんに修理をお願いしたところ、あっという間にこの通り。

全体の見た目も元通りに見えますが、根元の補修跡も目立ちません。

接着剤でただそのままくっ付けただけだと強度は不安です。
なので脚と座面を繋ぐ“ダボ”パーツを埋め込むことで強度を高めました。

座面にはその穴を塞ぐ木栓を入れることで、極力修復跡が目立たないように工夫。


無事、もとあった場所へと戻って行きました。
壊れたものを処分した経験は、誰しもにあることだと思います。
それと同時に、何とか使い続けたいけど、なくなく処分してしまった経験というのもあるのではないでしょうか?
直すことで新たな価値が生まれる
私が考える“良い家具”は、不具合が起きても直しながら長く付き合うことのできる家具。
これは家具に限らず、何にだって当てはまることだと思います。
特に椅子は、家具の中でも消耗していく家具です。座面の布が破れたり、中身のクッションがヘタってしまったり、脚がグラグラしてしまうなど、長く使うとさまざまな症状が現れてきます。
椅子は、日々のメンテナンスや修理によって、寿命を伸ばすこともできる家具なのです。

例えば、乾燥が進んで本革がヒビ割れてしまった椅子。

こちらも革を張り替えると、こんなに印象が変わります。


もっと思い切ったこんな修理をすることもできます。
数十年放置されていた折りたたみの椅子。

板もベロベロに剥がれてしまい、今にも崩壊してしまいそう・・・

全体を綺麗にしながら、座面を新規に作り直すと・・・

まるで新しい命を宿したような、素敵な雰囲気のある姿に。

モノは、受け継がれ、使い続けられていくことで、そこに歴史や思い出という価値が積み重ねられます。
長く使い続けるために気をつけるべきポイント
お気に入りの椅子と長く付き合っていくには、日常的に気をつけるべきポイントがあります。
当たり前のこととはいえ、ついついやってしまうNG行動がその寿命を早めてしまっているのです。
①引き摺る

床との摩擦で椅子の脚に横方向の負荷が掛かり、その蓄積が脚の接合部分の緩みなどにつながっていきます。
②後脚だけに体重をかけて座る

椅子にとっては予期せぬ方向への負荷が掛かるので、支えている後脚に大きなダメージを与えるリスクがあります。
③肘掛けを持って移動させる

構造にもよりますが、椅子の重量を肘掛けだけで支えることになるので、このような持ち方は避けるのが良いでしょう。なるべく座面の枠を持つようにするのがベター。

④椅子を踏み台にする

椅子は人が座るために設計されています。もちろん上に人が立って全体重が一箇所に掛かるような負荷は想定外。ついついやっちゃうんですけどね・・・
⑤グラグラしているパーツを放っておく

椅子のフレームの緩みに起因するガタつきに気づいた場合は、放っておかずにすぐに対処を。取り返しのつかない程のパーツの破損や、怪我へつながるなどの最悪の事態が起こる前に修理を検討しましょう。
以前にもお話したことがありますが、日本人は海外の人に比べて座っている時間が長いんです。
【過去記事】『椅子に座ったままできる「チェアヨガ」で体すっきり!ヨガインストラクターが教えるおすすめ6ポーズ』
そんな日本人にとって身近な家具である椅子。椅子との向き合い方に注意を払うと、私たちの暮らしを楽しむヒントがきっと見えてくるはずです。
日常の暮らしに関するインテリアのお悩み事など、些細なことでもインテリアコーディネーターへお気軽にご相談を。
お問い合わせ、ご相談はSNSのDM(instagram)または、ホームページからご連絡ください。
修理、張り替え協力:Heima