こんにちは。
インテリアコーディネーターのアダチツヨシです。
以前に自分に合った椅子の高さについてのお話をさせていただきました。
【過去記事】自分に合う椅子の高さが分かる方程式

講演やワークショップでもこの題材のお話を何度かさせていただいているのですが、今回はその椅子と密接な関係にあるテーブルやデスクとの「高さのバランス」についてのお話をさせていただこうと思います。
世の中の椅子の高さ

現代の食事シーンで使う家具といえば、ダイニングテーブルとダイニングチェアのセットがまず浮かぶのではないでしょうか。一方、カフェなどの飲食店では、低めのソファで食事するスタイルもよく見られますね。
この2つのシーンに使われているテーブルの高さには違いがあります。その差は20cmくらい違ってくることも。
それはもちろん、座っている座面の高さが違うからです。

ダイニングチェアの座面高は一般的に41〜46cmほどですが、国産ブランドと海外ブランドではわずかに差が見られます。
これは基準としている平均身長が異なるためで、テーブルの高さにもその違いが反映されています。
使いやすさのキーポイント「差尺」

チェアとテーブルの組み合わせとして、インテリアコーディネーターの中で鉄則ともいえる数値があります。それは「差尺」と呼ばれる数値です。
差尺とは「机の高さと椅子の座面の高さの垂直距離」です。専門書などでは、成人男性が28〜30cm、成人女性で27〜29cmと示されています。
例えば、成人男性が72cmのテーブルで食事をする場合、椅子の座面高は42〜45cmくらいが程よいバランスといえます。(※あくまでも一般的な目安です。)
そんなことから、現在の市場では高さ70〜75cm程度のダイニングテーブルが多くなっています。
意外と難しいカフェスタイルの実現
おしゃれなカフェのような、低めのソファでゆったりランチ。そんな素敵な雰囲気を自宅にも取り入れてみたい。こんなときのソファとテーブルは、果たしてどんな高さのバランスが良いのでしょう?
ここでも日本人の一般的な「差尺」を当てはめるのが良いでしょう。ただ、要注意なのがソファの座面高です。
というのも、ソファの座面クッションは沈み込み具合が本当に様々なのです。皆さんも経験があると思いますが、ほとんど沈まない硬めのソファもあれば、ふわっと大きく沈み込む柔らかいソファもありますよね。

そこで、ソファに適したテーブルの高さを導き出す理想の方法をお教えします。まず、実際にソファに座り、沈み込んだ位置の床からの高さを計測します。そこに差尺分を加算した高さが適したテーブルの高さになります。その高さをもとにテーブルを探すとミスマッチが起こりにくいです。
デスク用途のための差尺
実際にテーブルを使用する場面は、何も食事のときだけではありませんね。勉強やお仕事でデスクとして使われることも日常的なことです。それぞれの場面において、理想とする差尺には少し違いがあります。
筆記などの作業は少し高め、読書などややゆったりと使う場合には少し低めのデスクが良いと言われています。

ワークデスクに合わせられることの多い「昇降式チェア」などは、身長や体格など違う様々な方の使用が想定される場所において、高さが調整できる理にかなった家具といえますね。
他にもダイニングテーブルからカウンターの高さまで調節して使うことができる椅子もあります。よくある話ですが、新築に高めのカウンターテーブルを構えるプランを立てたけど、意外とぴったりの高さの椅子が世の中にない。

そんなときに役に立つのが昇降式のチェア。我が家でも、回転式の昇降スツールがとても重宝しています。

理想の高さのバランスを知ること
私がインテリアショップで働いていた頃、こんな要望をされるお客様が度々いらっしゃいました。
「ダイニングで食事した後、リビングに移動させてコーヒーテーブルでゆったりくつろげるような、中間の高さの椅子が欲しい。」
高さの差が10〜20cmもあるようなテーブルの、どちらにも対応する良いトコ取りの椅子を探されていました。
それぞれのテーブルに、同じ椅子を合わせた使用場面を想像してみると・・・
ダイニングテーブルには低すぎ、コーヒーテーブルには高すぎる、どっちつかずの気持ち悪いバランスになります。当然使い勝手も悪いです。
例えば、こちらは座面高38cmの椅子を一般的に多い72cmのダイニングテーブルに合わせた様子。
この場合、差尺は34cmです。

ぱっと見、違和感ないようにも見えなくもないですが、実際はかなりテーブルが高く感じられ、食事するには肩が凝りそうです。
次に、よくソファと合わせられる高さ60cmのテーブル。
差尺は22cmです。

今度はテーブルが低すぎてかなり前傾姿勢になってしまうのと、太ももが完全に天板に当たってしまいます。
この椅子にぴったりのテーブルの高さは65cm程度。中途半端な高さを組み合わせてしまうと、常に違和感を感じながら過ごすことになってしまいます。
差尺を理解しておくと、家具選びも選択肢を絞りながら効率的に進めることができるというメリットもあります。
これから椅子とテーブルを探される方は参考にしてみてください。
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