秀吉の兵糧攻めから民を救った鳥取城主・吉川経家。経家の碑が今も山口県岩国市にある理由とは?

日本三名橋の一つに数えられる美しい五連アーチをもつ「錦帯橋(きんたいきょう)」

この錦帯橋がある岩国市と鳥取市は姉妹都市提携を結んでおり、そのご縁から先日岩国市に行ってきました!

しかし、なぜこの2市が姉妹都市提携を結んだのか…
きっかけは、鳥取市民に歴史上のヒーローとして知られているあの人だったんです。

目次

岩国城下町にある“あの人”の碑

錦帯橋のそばにある「岩国城」
初代岩国藩主吉川広家によって1608年につくられた山城で、現在の天守は、昭和37年に再建されました。

天守からの眺め

天守からは、川にかかる錦帯橋と岩国市街地を眺めるとても美しい景色を見ることができます。

錦帯橋を架けた3代岩国城主・吉川広嘉

城下町には、代々岩国藩主であった吉川家にゆかりあるスポットがありますが、そんな中で見つけたのが「吉川経家弔魂碑」

そう、吉川経家といえば”鳥取城主”として知られる人

石の中央部分に右から
「鳥取城ノ石」という文字が刻まれている

碑を支える土台には「鳥取城の石」と刻まれた石も。

なぜ、ここ岩国に鳥取城主の碑が建てられているのでしょうか。

鳥取城の壮絶な戦いと市民を守った武将「吉川経家」

吉川経家肖像(鳥取市歴史博物館所蔵)

そもそも吉川経家とはどんな人なのか。

さかのぼること戦国時代。
現在の鳥取県庁近くにある久松山に、鳥取城が築かれていました。

鳥取城跡

今は城跡が残るのみとなっていますが、この鳥取城の歴史を語る際に必ず出てくるのが「吉川経家」です。

吉川経家の鳥取城での物語は、とてもかみ砕くとこんな感じです。

ー1分でわかる!吉川経家と鳥取城ー

羽柴秀吉鳥取城攻布陣図(鳥取市歴史博物館所蔵)

①羽柴(豊臣)秀吉の侵攻を迎え撃とうとしていた鳥取城。
②助っ人として登場したのが「吉川経家」。島根県西部にいた石見吉川氏の一族からの抜擢でした。
③鳥取城に入城するとすぐに備えを整えようとした経家だが、秀吉の策略で深刻な食糧・物資不足に。
④鳥取城の将兵は戦い続けるも、餓死者が続出。
⑤城内の悲惨な状況に経家は降伏を決意。経家は、自身の切腹と引き換えに城内にいる家臣や民衆の命を助けることを秀吉に申し出る。
⑥秀吉は援軍で入った経家の命は助ける、といったものの、経家自身が全責任を負うと譲らず切腹。

鳥取城の兵のため、そして民のために、命をかけた経家。
鳥取の地、そして家臣への思いがとても強いと感じますが、実は経家が鳥取城に入城してから切腹まではわずか7ヵ月。

経家は、切腹する際に子どもたちに書き残した手紙には次のような内容が。
『自分一人が腹を切り、皆の命を助け、一門の名をあげるのです。そのしあわせものがたりを聞いてください。』

鳥取城跡に建つ吉川経家像

鳥取城が大ピンチの時にさっそうと現れ、来たばかりにもかかわらず、自らの命と引き換えに兵や民を救った武将。
今、経家の姿は銅像となって城跡に立ち、鳥取市民にとって偉大な武将として大切に祀られているのです。

経家が繋いだ岩国と鳥取の縁

ではなぜ、経家の碑が岩国に建てられているのか。
岩国市の郷土史資料が展示される「岩国徴古館」を尋ねました。

岩国市立博物館 岩国徴古館
お話を聞いた松岡副館長

「岩国市にある経家の碑が建てられているのは、もともと経家の子孫が住んでいた場所なんです。」

経家亡き後、経家の子孫は、同じ吉川一族であり、初代岩国藩主の吉川広家のもとに移り、代々家老として仕えてきたそうです。

吉川氏のうち、安芸吉川氏に岩国藩主・広家が、
石見吉川氏に経家の名前が残る

その歴史的な縁から、昭和14年に鳥取城の石を土台に経家の弔魂碑が建てられました。

さらに、吉川経家が結んだ縁から鳥取市と岩国市が姉妹都市を締結。
岩国徴古館では、これまでにも記念事業として経家にまつわる展示を行ったり、今年度は経家の歴史を記したマンガ冊子の発行も予定しているということです。

岩国市で吉川というと、やはり藩主を務めてきた代々の吉川氏ではありますが、同じ城下町の中で鳥取城主である吉川経家が大切に祀られているということに、鳥取市民としては、感慨深い気持ちになりました…。

姉妹都市30周年を機に吉川経家のことを知るチャンスがたくさん!

1995年に鳥取市と岩国市が姉妹都市提携を結び、30周年を迎える2025年。
鳥取・岩国それぞれで、きっかけとなった吉川経家に関する展示やイベントも予定されています。

これを機に町、そして偉大な武将の歴史を知るいいチャンスなので、ぜひ訪れてみてください。

姉妹都市提携30周年記念事業

吉川経家公メモリアルイベント(鳥取市)

吉川経家の生きざまを壮大な音楽朗読劇で表現。さらに、大河ドラマの時代考証にも携わった歴史学者・小和田哲男氏が登壇しトークショーも。
日時:2025年11月2日(日) 13:00開場
会場:鳥取市市民会館大ホール
※詳細は公式WEBページ「吉川経家公メモリアルイベント」をご覧ください。

巡回パネル展(鳥取市)

鳥取市と姉妹都市提携を結んだ岩国市・郡山市との歴史や交流についてパネルで紹介します。
8月11日(月)~8月26日(火)
場所:鳥取市役所横 麒麟Square 1階情報スペース②9月5日(金)~9月18日(木)
場所:鳥取市立中央図書館
10月3日(金)~10月22日(水)
場所:鳥取市歴史博物館

吉川広家没後400年 吉川広家・経家の生きた時代(岩国市)

姉妹都市提携のきっかけとなった鳥取城の戦いについて紹介。また、初代岩国領主・吉川広家没後400年にあわせて同時代の関連資料を紹介します。
日時:2025年10月5日~12月14日
会場:岩国徴古館

第26回鳥取三十二万石お城まつり(鳥取市)

鳥取市の姉妹都市交流コーナーに、岩国市ブースが出展します。
日時:2025年9月28日(日)10:00~15:00
会場:鳥取城跡・久松公園
ブース概要:
山口県岩国市の国指定天然記念物「岩国のシロヘビ」の展示と、シャキシャキ歯ざわりもちもち触感で9個の穴が岩国藩主吉川家の家紋に似ている「岩国れんこん」を販売します。※売り切れ次第終了
<HP>

記念事業のスケジュールは鳥取市のホームページでも紹介されています。

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