暮らしを楽しくする素敵な陶芸品との出会い【陶工房Ashwork】|米子市

目次

自分の想いと向き合う働き方
~陶芸工房を訪ねて~

こんにちは。
インテリアアドバイザーアダチツヨシです。

今回は、私が先日出会った“暮らしを楽しむヒント”をご紹介します。

ご縁あって、米子市淀江町にある陶工房Ashworkさんへお邪魔してきました。

陶芸作家の足塚由江さんが構えるこちらの工房では、

〈 日々の暮らしにそっと溶け込む 
     そんな焼き物がつくれたら 〉

という想いを持って作品づくりをしていて、心が温まるような優しい作品が特徴です。

中にはくすっと笑えるものも。

人の想いが交わる場所

足塚さんは2001年に鳥取県日吉津村で作陶をはじめ、2022年にこの地に工房を移されました。
こちらの工房は、築50年近い空き古民家を改修して構えられ、足塚さんご自身や陶芸教室の生徒さんとともに手を加えたDIYも効いた、手づくり要素の詰まった空間が広がっています。

例えば、ご自身で漆喰を塗って仕上げられた壁も、もともとは昔ながらの土壁だったそうです。

エントランスに設けられたこの柵もDIY。
可愛らしい鳥のオブジェが出迎えてくれます。

こちら以外にもお庭には鳥のオブジェが飾られていて、ご自身の作品にも鳥をモチーフに取り入れたものもあります。
ある水辺のカフェでお茶をしていたときに、その畔を小鳥たちがちょこちょこと動く姿や、振り返る姿が何とも愛らしく、そのイメージを作品に取り入れてみたいと思ったのがきっかけだそうです。

ふとした日常で得たインスピレーションを、暮らしや仕事に取り入れてみる。
そんな感性も暮らしを楽しむヒントのひとつ。
自然と気に留まるものって、実は自分の素直に好きなものであることが多いんです。

素材を活かした環境

さて工房に目を移すと、アトリエと古民家が融合した味のある空間
神経を研ぎ澄ますような「仕事場」らしい、凛とした空気も漂いながら、その傍らにはどこか懐かしさも感じるホッとする雰囲気があります。

そんな古民家を活かした工房も、どこから手を付けるべきか悩むほど、一からのスタートだったそうです。
古い日本家屋らしいコンパクトな間取りを、いかに快適な仕事場へ変えるか。
そんな課題を自分で知恵を絞りながらひとつひとつ解決していったそうです。ご本人の中ではまだまだ進化の途中ということですが、そんな一歩ずつ前に進んでいく姿がとっても素敵でした。

コンパクトな一室に置かれたろくろ
隣接する機械室から出る暖気を、直接アトリエに取り込む冬時期のエコな工夫

縁あって、手元に集まった家具が並ぶアトリエ。閉店した飲食店や書店から譲り受けたテーブル、書棚など、人を通して繋がった歴史ある家具がこの工房で再び活躍しています。

廃棄されるはずだったスチールの脚に天板を作り足してリメイクした作業台

建物も、囲まれる環境も、自分にとって丁度よいものに調整していくことは、利便性以上に心を満たしてくれることにつながると、私は思います。
その中でも、受け継いだものと自分が加えたものを調和させることは、最も自分に最適化された場所を築く上でとっても大きなポイントであり、これまた暮らしを楽しむヒントです。

陶芸の道へ進んだ理由

足塚さんが陶芸家を志したきっかけは、暮らしの延長にある想いからでした。
もともと陶芸に縁があったわけではなく、全く異業種の会社員をされていた頃、「将来、自分で畑で野菜を育て、それを自分でつくった器で食べる暮らしができたらいいな。
そんな想いが芽生えたそうです。

そこから趣味で陶芸教室に通い始めるうちに、陶芸に魅了されていきます。
20代後半で、会社員を辞めて有田の陶芸学校に入学することを決意。しかし、その頃はまだ、器に携る仕事ができればという想いで、将来像が明確になっていたわけではなかったそうです。

そんな在学中に転機がありました
学校祭で実際に自分がつくった作品を評価される声を聞き、そこで初めて自身が生み出す「陶芸家」という道を意識するようになります。

もちろんそれから全てがすんなりといったわけではなく、卒業後もさまざまな苦難があったそうです。ただ、多くの縁にも後押しされながら、自分の信じた道を進んできた強い想いが今へ繋がっているのだと私は感じました。

作品に残される「Ash」の文字は、Ashizukaの頭文字3文字から取ったのと、陶芸の釉薬に深く関わる「Ash=灰」からも由来します。これは、在学中からずっと変わらず使い続けておられるそうです。

想いがかたちになる作品

最後に、工房に併設された展示スペースに案内してもらいました。
ここでは直接の購入も可能です。

そこでひと際目を引くのが、こちらのカップ。
鳥取県のかたちを象った人気のカップです。

卒業や転勤などで地元・鳥取を離れる人へ、移り住んだ先でも時々故郷を思い出してもらえるようなものをつくりたい。それがこのカップをつくったきっかけだそうです。贈り物になったときにも、受け取った人にとってそのカップが励みになる存在になれれば、そんな想いを乗せてつくられています。(現在は47都道府県の全バージョンを展開)

手にしたときに何かを感じる「もの」って、それが生まれた裏に深い背景があったりするものです。その背景を知って使うと、より愛着も深まります。そんなとき私はものに対して、「使う」というより「付き合う」という表現がぴったりな感覚を抱きます。

最後に

インテリアを通しての暮らしの楽しみは、コーディネートの仕方や使いやすさなど、見た目や快適さから生まれることが多くあります。
でも、ものの背景を知って購入することや、ものを長く大切にすること、また日常と前向きに向き合う姿勢などにまつわる「想い」から、暮らしを楽しむヒントをもらえることもあります。

今回の取材で改めてそんなことを感じるとともに、自分自身の暮らしも少し足を止めて振り返る機会にもなりました。

今後も、こういった事例もご紹介していければと思います。
日常の暮らしに関するお悩み事など、些細なことでもお気軽にご相談ください。
お問い合わせ、ご相談はSNSのDM(インスタグラム@foglia_goodlife)または、ホームページのメールからご連絡ください。

取材協力:
Yoshie Ashizuka(Facebook:陶工房Ashwork
【陶工房Ashwork】
鳥取県米子市淀江町佐陀350-16
※訪問時には事前にご連絡をお願いします。

この記事をシェアする
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

米子市出身。fogliaインテリア事業ディレクター/築古賃貸物件オーナー/インテリアコーディネーター(インテリア産業協会公認)
北欧インテリアショップでの長年の店長経験をもとにインテリアアドバイザーとして活動中。
好奇心旺盛なインテリア愛好家。好きなものに囲まれて、暮らしを楽しく快適にするヒントを発信していきます!

目次