12月に入り、街はクリスマスの雰囲気に包まれ始めた。
ちなみに、この時期のことを、アメリカでは、「クリスマス・シーズン」ではなく、「ホリデー・シーズン」と呼ぶ。
なぜなら、アメリカでは様々な宗教や文化が共存しており、大多数の人が宗教的にクリスマスを祝うものの、習慣的にクリスマスを楽しむ人もいれば、後述するユダヤ教も祝祭のシーズンだし、超少数派だが、日本人はお正月という一年も最も重要なホリデーがこの時期にある。そんなワケで、私にとっても「ホリデー・シーズン」という表現がしっくりくる。
12月25日が祝日であるように、米ドル札の裏に「IN GOD WE TRUST」とあるように、キリスト教徒が大多数を占めるアメリカ。そして、ヨーロッパ系文化圏出身者も多いことから、かなりの数の家庭が、教会に通ってなくてもクリスマス・ツリーを飾る。前庭に様々なデコレーションを置いたり、ショッピングモールは巨大ツリーを設置したり、クリスマスをイメージさせるデコレーションで商店街を飾ったり……。
今回は、この時期の街の様子をお伝えしよう。
高級店が並ぶロデオドライブの中央分離帯には、クリスマスを彷彿とさせる装飾が置かれ、映画『プリティ・ウーマン』に登場した小道の入り口には、巨大なくるみ割り人形とクリスマスツリーが設置される。
ロデオドライブにほど近い大通りの上空には、サンタとトナカイのソリが設置される。最初に見た時には、驚いて事故りそうになった。
うちから1番近いショッピングモールで、試写会もよく開かれるセンチュリーシティは、中庭が土産物店の並ぶ村に変身!
大掛かりな蒸気機関車のセットも組まれ、短いミュージカルを上演して訪れた人を楽しませている。
うちから2番目に近いショッピングモール、ザ・グローブは、ロサンゼルスで一番人気。市長選に立候補したリック・カルーソの所有するモールで、市長選のキャンペーンにも使われていた。
このモールはやることが派手だ。
巨大クリスマスツリーやサンタの橇(そり)の空中装飾があるだけでなく、サンタクロースの家(?!)を設営し、サンタ役の男性を雇って、写真撮影のサービスを提供している。サンタとの写真撮影の際には、子供たちは欲しいプレゼントをサンタに直に耳打ちできるようになっている。
各家庭も負けちゃいない。今年のホリデーシーズンは、コロナも落ち着き、クリスマスのイベントや、各家庭での装飾も目立つようになった。最近の流行は空気で膨らむデコレーション!
私はユダヤ系が多く住むビバリーヒルズの南側(住所はロサンゼルス市だよ〜)に住んでいるので、近くの住宅街の窓際には、クリスマスツリーよりもハヌカの燭台を見かけることが多い通りがある。
ご近所さんと張り合うようにして電飾に凝る家庭が並ぶ道は、週末には大渋滞がおきるほど見物人が訪れる。
そんな中、ディズニーランドのエレクトリカルパレードのように音楽と電飾と人形がシンクロする装飾を毎年設置する人がいる。ロサンゼルス郊外に住むマイク・ジムコウスキだ。テレビ界のアカデミー賞、エミー賞受賞経験もあるマイクは、趣味と仕事で培った経験を生かし、毎年、もの凄く凝った仕掛けの「ショー」を無料で提供している。
前庭にところ狭しと設置した仕掛けが、音楽に合わせて様々な色に輝き、アニマトロニクスがしゃべって歌う。文字で説明するよりも、動画を観た方が分かりやすいので、興味がある方はこちらのリンクから。
本業が映像編集であるだけに、動画のクオリティはもの凄く高い!!
マイクは、ウェブサイトも持っていて、毎年の動画がアップされているので、年毎の違いも楽しめる。
http://www.lightsondisplay.com/
映画にもあるように(『Office Christmas Party』。邦題『クレイジー・パーティー』)、クリスマスパーティーを開く会社も多い(ホリデー・パーティーという言い方をするところもある)。コロナ禍でずっと中止だった反動か、今年はかなりの会社が開催するらしい。オフィス・クリスマスパーティーは、アルコールも振る舞われ、無礼講な雰囲気満載だが、例年、ハメを外しすぎた社員が必ずいて、後日、解雇通告を受けるという。その割合は、予想以上に高い。イギリスでは約10人に1人!
そんな状況も踏まえ、近年、オフィスのクリスマスパーティーでは、「服を脱がない」というルールが社員に通達されるという。特に男性社員への警めらしい。これを聞いて爆笑した。
さて、生木のクリスマスツリーはどこで買うのか?
この時期になると、土地開発のタイミングで空き地になった場所に臨時のクリスマスツリー販売店ができる。
様々なサイズや枝振りの木が並べられており、敷地内を回って、お気に入りの木を購入する。また、雪化粧の追加オプションもある。
木の価格は基本的にサイズ次第だが、意外に高い。特に今年は、水不足と山火事の影響で、ツリー用の木が大幅に不足。加えて、原油の高騰とインフレで、例年に比べて約20%高い。つまり、昨年の平均80ドルだったものが、今年は100ドル出さないと買えないということだ。
「昨年より、購入する木のサイズを小さくした」という声をよく聞く。
生木は良い香りがしてリフレッシュな気分が味わえる。
しかし、約1ヵ月後にはあちこちの歩道に枯れたモミの木が転がることになるのだった……。